◆今月のメッセージ 2016.11:
11月です。
紅葉の美しい時期ですね。
皆さまは、紅葉の旅へお出かけになられたのではないでしょうか。
日本の紅葉は、本当に色合いが美しいです。
黒部周辺や立山、谷川岳の紅葉は、見事でした。
コンサート後に寄りました、松島の円通院の紅葉ライトアップも情緒があり、素敵でした。
四季がある国は、とても贅沢だと思います。
心の底から、「美しい!」と感嘆する時の光景は、いつまでも目に焼き付いているものです。
音楽も同じだと思います。
何て素敵な曲なんでしょう!と思いながら聴いた曲は、印象に残り、いつまでも心に響いているものです。
これは、人間と人間の相性と同じで、自分の脳裏に共鳴するかしないかは、相性だと思います。
マウリツィオ・ポリー二は、世界的なピアニストですが、彼はとても現代音楽が好きな方です。
大分前の事ですが、ザルツブルグ音楽祭の折に、ほとんどの聴衆は、ショパンの演奏を聴きたいがために、高価なチケットを購入されたのだと思いますが、当日までプログラムを明かさず、弾いた曲は、現代音楽ばかりを弾かれた事がありました。
その時は、客席からすごいブーイングが出てしまって、さすがのポリー二も真っ赤な顔をして、舞台で驚きを隠せない状況でした。
ポリー二自身は、「僕が演奏すれば、ファンは何でも受け入れてくれる。」と思ったからこそ、現代音楽プログラムになさられたのでしょう。
ポリー二のファンでも、現代音楽には、共感出来ず、その時間が素晴らしいとは思えなかったからなのでしょう。
それ以後は、またロマン派を主流に考えて、コンサートでは弾いていらっしゃいますが、自分は弾きたくても、お客様はそれを受け入れてくれない、という時は、やはり聴衆たちの気持ちを考えて、自分の気持ちを抑えなければならないのでしょうね。
現代音楽の大好きな方たちばかりを集めたコンサートでしたら、そのために集まって下さるわけですから、全く問題はありませんが、予期せぬプログラムで、ご自分の好みの曲ではない場合は、確かにがっかりしますよね。
CD制作をする時、もちろんコンサートでも同じことですが、自分が好きだから、この1年この曲を頑張って勉強したから、という理由だけで選曲すると、ファンに応えられない事が多々あります。
「CDを毎日聴いています、」というお声をたくさん聞く事が出来ますと、この選曲がよかったのね、と安堵致します。
来月は、レ・クロッシュのレコーディングがございますが、「心の友」として、毎日聴いてもらえるようなアルバムを目指しています。
では、今年も2ヶ月を切りましたが、どうぞ有意義にお過ごし下さい。