◆今月のメッセージ 2016.10:

皆さま、パリは、すっかり秋らしい爽やかな日が続いておりますが、日本の皆さまは如何お過ごしでございますか。
いよいよ、あと2週間で帰国です。

先日、シャンゼリゼ通りを散策しましても、サクレクール寺院に行きましても、東洋人と言えば、中国人ばかりで、テロの影響ですっかり日本人観光客が減りました。
セーヌに沿って歩いていても、何となくセーヌ川の流れが寂しげな感じがしてなりません。
観光船に乗船する人たちの数が少ないからなのかも知れません。

しかし、何も危険な時期に、パリを観光する必要もないですから、今は、治安のよい日本にいらした方がよいと思います。

「レ・クロッシュ ファンクラブ」会員の皆さま、お待たせ致しました。
今月中旬には、ファンクラブ会員対象の秋号をお送りさせて頂きます。
来年も引き続き応援下さいますと嬉しいです。
2017年も年会費は2000円とさせて頂きます。
一人でも多くの方たちのご入会をお待ち申し上げます。

最近、時間のある時に、バロック以前の時代から、古典派、ロマン派の作曲家の伝記を読んで楽しんでいますが、今週は、「フランツ・シューベルト」の伝記を読んでとても楽しませてもらいました。

シューベルトは、17歳まで、コンヴィクト(寄宿制神学校)で宮廷礼拝堂コーラス特別クラス(ウィーン楽友協会音楽院の前身校)に所属していましたが、晩年まで、その時の友人たちが、ずっとシューベルトを支えてくれていた事は有名ですが、その素晴らしい団結力に、改めて驚かされました。

一生で一回だけ、ウィーン楽友協会のホールで、友人たちの勧めで、自曲のリサイタルを開催致しましたが、チラシやチケットも全部友人たちがシューベルトのために手作りで作成し、大成功をおさめたということです。

地方公演の折に、車に大勢乗り込んでいる写真が出ていて、思わず、笑ってしまいました。
それこそ、「おしくらまんじゅう」の状態で車で移動し、地方公演に出かけていました。頼もしい友人たちとのんびりした時代を想像してしまいます。

シューベルトは、コーラスの特別クラス時代から友人たちから一目置かれていた存在で、「このシューベルトの曲を是非世に広めたい!」という強い思いがあったからこそ、協力してくれたのです。

演奏家は、自分の練習を重視し、コンクールで他人よりも勝ち、世に出る事を考えていると、勝ち得ても心は貧しくなっていくと思います。

当時は、コンクールなどございませんから、聴衆が、素晴らしい!、と評価すれば、次の仕事につながったわけです。

いつの時代にも、演奏家は、お客様に楽しい時間を、心地よい時間を、そして、一緒にコンサートの時間を楽しく共有したい、との強い思いで、音を奏でる事こそ、ファンの友情の輪が広がっていくのだと思います。
その教育においては、フランスはとても呑気ですが、とてもよいと感じています。

これから、「芸術の秋」で、日本も素晴らしいコンサートが目白押しでしょう。
素敵な秋をお過ごし下さいませ。